2019/03/21

【査定依頼】事故物件の告知義務はいつまで?

事故物件の告知義務はいつまで?

事故物件の告知義務はいつまで?

先日、心理的瑕疵がある物件を査定させて頂きました。

いわゆる、事件・事故・自殺等で物件内で人が亡くなられている物件のことです。
一般的に【事故物件】とも言われています。
売主様にしたら良い響きの言葉じゃないですよね…。

販売する上では、【告示事項あり】と備考欄に書いてあったりします。

売主様より相談された内容は、

「自殺があったことはどれだけ(期間)空けば言わなくてもいいんですか?」

です。

これは、国交省のガイドラインにも「これだけ空けば告知しなくていいよ」って
期間が定められていないから非常に難しい問題です。

【心理的瑕疵】というのは、

簡単に言うと『それを知っていたら買わなかった』

と当社では解釈しています。
なので、同じ事件・事故のことでも、

Aさん:「1年空けば昔のことだから全然気にしないよ」

という人もいれば、

Bさん:「10年空いてても絶対いやだ」

という人もいると思います。

Aさんにとっては心理的瑕疵に該当しないですし、
Bさんにとっては心理的瑕疵に該当します。

人によって違うんです。
だから国交省のガイドラインに期間の定めがないのです。

一般的に事故発生から7年~10年くらい経過すると 告知義務には該当しないとも言われています。

一般的に事故発生から7年~10年くらい経過すると
告知義務には該当しないとも言われています。

ただし、前述でお伝えしたとおり、期間の定めはないので、
7年~10年経過すれば告知しなくても告知義務違反に絶対に
ならないということではありません。
言っていること矛盾してますね。

裁判になった場合、いくつかの要因の中で告知の有無は判断されるようですが、
恐らく一番の要因は、

【その事件・事故がどれくらい世の中を騒がせたのか】

だと思います。

10年経つ頃には風化されてしまう事件・事故もあれば、

20年、30年と風化されず今もなお社会では
印象強い事件・事故として取り扱われるものもあります。

50年前の殺人事件を売主様が告知しなかったことによって、
裁判所が売主様の告知義務違反を認めた判例もあります。

一概に期間だけで判断するは危険です。

 

なので、当社では、期間関係なく、分かっていることは告知します。

例えば、20年経ち誰も覚えていなくても告知します。

売主様からしたら、

「告知しなくても良いかもれないことをわざわざ告知して、
何で資産価値下げるようなことするの?」

って怒られそうですけど・・・

買主様は購入した物件に長く住むことが通常は考えられます。

 

なぜかというと、

 

買主様は購入した物件に長く住むことが通常は考えられます。
最初は引っ越して来たばかりですが、
徐々にその地域でコミュニティの輪が広がっていきます。
住み始めて何十年後かに他愛もない世間話の中で、
自分が買った物件が、事件・事故物件だったと知ることがあるかもしれません・・・

ショックですよね。

 

Aさんみたいな人でも後から知ったら、

『聞いていたら買わなかった』

と反射的に思うかも知れません。

 

判決というのは、裁判をしないと判決は出ません。当たり前ですね。
ということは、最終結果として、

【売主様には、告示義務はなかったよ】

っと判決が出たとしても、それは結果論です。
買主様から告知義務違反だっと
訴えられたら裁判をしないといけません。

費用、労力考えると裁判するって大変じゃないですか?

売主様も訴えられた時に、

「こんなことになるなら最初から告知しとけば良かった。」

って思いますよ。きっと。僕だったらそう思います。

不動産売却プランナー:中根 裕介

後からトラブルになるくらいだったら、最初から分かってもらっている人に
購入してもらった方がお互いの為に良い思います。

トラブルを避ける鉄則です。事件・事故のことだけでなく、悪いと思うことは全部言う。

伝えた事項が悪い事なのかどうかは、人によって思うことが違うので相手の判断に任せましょう。

だから、当社では期間に関係なく告知する方針なのです。

そうすることが、長い目で見たときに売主様にとっても買主様にとっても良いと思っています。

 

安心・安全な取引を行うということは、目先のことだけではなく、
先を見越した判断が出来るかどうかだと思います。

ページ監修:不動産売却専門プランナー 中根 裕介

不動産売却専門プランナー 中根 裕介

居住地

名古屋市天白区(30年以上在住)

保有資格

宅地建物取引士・定借プランナー

略歴

平成13年3月 御幸山中学校 卒業
平成15年3月 東郷高等学校 卒業
平成18年3月 愛知学院大学 卒業
平成18年4月 三井のリハウス 入社
平成25年4月 三井のリハウス 退社
平成25年8月 名正コーポレーション 入社